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リオココ下流域の調査

ニカラグアとホンジュラスの国境となっているココ川(リオココ)。大西洋に向かって左岸(写真:左)がホンジュラス領で、右岸(写真:右)がニカラグア領だ。ホンジュラス側では、牧畜による森林伐採の深刻さは、ホンジュラス側でより進行していることが分かる。

ココ川は、人や物資を満載にした舟が行き交う。この地域では水上輸送が中心だ。

河口域のカボ・グラシアス・ア・ディオスに向かう支流を行くと、すぐに水量が減ってしまい、水深30cmほどに。仕方なく岸辺の小道を歩く。雨季にも関わらず雨量が少ないだけでなく、木が伐採され続けた影響も大きいと聞く。

この行き帰りでは途中、舟を降り、帰りは私も川に入り2時間以上舟を押すことになった。物資運搬や病人の輸送などにも当然影響が出るため、大きな問題だ。なお、高い波でない限りは支流に入らず、河口から海に出て湖内に回り込んでいくルートが一般的だという。

ただし、その河口部分には上流から流れ着いたゴミが大量に溜まっていることが問題になっている。ワンキラジオ(ワンキタグニが活動するフェミニストラジオ局)の記者を務める女性は積極的に住民に話しかけ、地域の歴史や現在抱えている問題などの話を聞いた。

沿岸では魚、エビ、カニ、貝などが豊富に獲れる。しかし、近隣に市場がなく漁師たちには冷蔵設備が無いため、新鮮なうちに出荷することができず、現金収入に苦労しているという。米は自給自足。庭先で乾燥させ、脱穀、風で籾殻を飛ばしていく。

水道はなく井戸を使うが、塩が混ざるため飲用に適さない。水は船で川を上り取水しにいく。

陸の侵食も問題で、湖と陸との境界に杭を打ち、土嚢がわりのヤシの実や枝木などで対策している。波に侵食されて、すぐ近くまで水が迫っている家もあった。
(報告と写真:柴田大輔)