交流するメディア2015 ワスパンと東京 同時上映会とネット対話

当時の上映作品はこちらでご覧いただけます→ 日本会場

Esperanza para la comunidad a través de dialogo e imágenes              映像と対話でコミュニティに希望を

2010年にグアテマラのサンファンデルオビスポ村の貧困層の子ども達を支援するためのマリンバ教室(Casa museo Louis de Lion)と貧困によって犯罪や不健全な環境に陥る青少年をなくそうと文化芸術活動に取り組んでいるコマラパ青少年組織連合(Cordinadols Joveneis Comalapa)を訪問したことをきっかけに生まれたラテンアメリカ交流事業。

初めてでも動画を完成できるDigital Storytellingの方法で制作した映像を集めた上映会を日本と同じ時間帯に交流先でも開催し、上映直後にインターネットで上映会場同士をつないで対話するイベントを毎年開催している。

《ワークショップ》

2011年に東京、グアテマラでワークショップ、2013年はニカラグアのカリブ海に面した北部大西洋自治地域(RAAN)のワスパンとビルウィ、グアテマラの首都に近いミスコでワークショップを実施。森林伐採や焼き畑、水源の汚染などニカラグアの人びとが描いた映像は日本で頻発する土砂災害などを想起させ、地球温暖化や気候変動の影響が互いの暮らしに及んでいること、その深刻さを確認する機会となった。ミスコでは家庭や路上で性暴力被害を受けた少女の保護と社会復帰を支援する施設職員がデジタルストーリーを作成。社会に渦巻く差別や格差の中で励ましや支えが自らの成長につながること、困難でつらい経験も人は教訓として伝えたい気持ちがあることなどが語られた。

2014年はRAANの周辺にあるコミュニティのリーダーがデジタルストーリーを作り、その制作支援を昨年のワークショップ参加者(NGOワンキタグニの女性たち)が担う取り組みを行った。参加者たちは、環境破壊によって生活が脅かされていることの警鐘とともに、住民自らに環境破壊を防ぐための自覚を促したい、虐げられている女性に権利の理解を促す目的で活用したいと意欲を語った。

《インターネット対話》

2012年に東京とグアテマラのサンファン・デル・オビスポとサンファン・コマラパ、二つの村を東京と結ぶネット対話を実施した。オビスポのこどもたちは遠くの国とつながっていることに興奮し、「いつか日本に行ってみたい」「お金がないから泳いで辿り着けるように泳ぎの練習を始めないと」など元気な様子を日本の会場では直接受け取ることができ、「明るい様子に励まされた」という感想が上がった。

 2013年のネット対話では、ビルウィと東京をつなぎ、就活、水源の保全など共通する話題で会話が弾み、ニカラグアの若者からエネルギー政策について"なぜ危険な原発を使い続けるのか"と問いかけがあり、意見を交わした。2014年6月、この間の取り組みを過去の作品群とともに紹介するイベント「交流するメディア2011-2014」を開催。コミュニティに関わる活動者や研究者らが多数参加した。

 

おおた市民活動推進機構では2011年以降おおむね年1回、ラテンアメリカを訪問してワークショップを実施している。活動資金は小規模な助成金や訪問者本人の拠出によるボランティア活動である。自らが思いを表現する短編映像を通じて、遠く離れた人たちとの分かち合いや対話による気づきを得られると好評の上映&ネット対話を帰国後に実施。2013-14年は京都のDST作品や制作者も参加した。